


『関塾タイムス』では、アンケート企画や取材などを通して関塾の先生の一面をご紹介しています。教室を訪問してお話を伺う「関塾とわたし」第8回目の今回は、高校時代は野球に全力投球、もと寿司職人という経歴をお持ちの先生が運営する教室にお邪魔しました。 塾を始めたきっかけや、教室での指導方針、関塾生の皆さんへのメッセージなど、様々なお話を伺いました!
今回は、Dr.関塾 紅梅町校(大阪府大阪市)の徳力塾頭にお話を伺いました。高校 ・大学ともに西日本のDr.関塾の中でトップクラスの合格実績を誇る紅梅町校。そして、大阪市内で毎年、難関校の合格者を輩出しているDr.関塾 清水谷校(天王寺区)の2校を運営し、ご自身も日々塾生の指導にあたられています。「自分の体験を話して、勉強をコツコツ続けることの大切さを伝えています」と徳力塾頭。普段はなかなか聞けないエピソードが盛りだくさんです!
塾頭・徳力 修司 先生
――紅梅町校と清水谷校は、開校してどれくらいですか?
紅梅町校は2025年8月に10年目を迎えました。清水谷校はその4年ほど前に開校し、今は妻が教室長として切り盛りしてくれています。塾の運営に関わるようになって約14年になりますね。
――塾を始める前は寿司を握っていたと伺いました。
わが家は祖父の代から続く寿司屋です。ただ、私は大学卒業後、店を継がずに一般企業に就職しました。ところが数年経った頃、父が体調を崩して店を続けられなくなってしまったんです。その時に「手伝ってくれへんか」と言われたことを機に、会社を辞めて寿司職人に転身しました。
店の手伝いは子どもの頃からしょっちゅうしていましたし、握り方は父から手ほどきを受けていたので、修行を積む必要もなく、寿司職人としてスムーズにスタートをきりました。
――そこから塾を開校されるまでの経緯を教えてください。
関塾から電話をもらったのがきっかけです。「寿司屋の店舗を利用して学習塾を始めませんか?」と……。その時は店の経営で手一杯でお断りしたのですが、2〜3年考えた末に「副業という形でも良いなら」と、清水谷校を開校しました。2011年11月のことです。
しかし、いざ始めてみると、寿司屋と並行して片手間に塾を運営するなんて、とても無理だとわかりました(笑)。保護者の方との面談では、大切な子どもさんを預かる責任の重さを痛感。そうして、寿司屋は一旦閉めることにしました。落ち着いたらまた再開しようと思いながら、十数年、塾に専念する状況が続いています。
――飲食店から学習塾へは大きな転身だったと思いますが、何か後押しになることがあったんでしょうか?
大学時代に塾の講師や家庭教師のアルバイトを経験していたことですね。中高生への指導経験があったことは、大きな安心材料でした。それと、寿司屋があった清水谷校周辺は、いわゆる「文教地区」。教育熱心な家庭が多く、学習塾のニーズは高いだろうと思いました。
実際、寿司屋には、高校・大学の先生や、中学受験を控えた子どもを持つ親御さんなどがお客としてよく来られていました。店内で交わされる会話も教育関係の話が多く、長年カウンター越しに教育業界の実情を耳にしていたことも影響しているかもしれません。
――徳力塾頭が中学時代、得意だった科目・苦手だった科目を教えてください。
得意は数学です。今も教室では数学を教えています。ひとつ自慢してもいいですか(笑)。そろばんを習っていた小学生の頃、暗算の大会に出て、大阪でナンバーワンになったことがあります。私の数学好きはそろばんのおかげでしょうね。苦手だったのは社会。歴史や地理にはまったく興味がなかったので、年号も地名も、何ひとつ頭に入ってこなくて……。
勉強は嫌いではなかったですが、中学時代、テスト勉強や受験勉強をがむしゃらにやったという記憶はありません。高校は、京都大学や大阪大学の合格者を毎年輩出している地元の進学校へ進みました。
合格できたのはきっと、自分なりに学習を積み重ねていたからだと思います。というのも、お話ししたように教育熱心な家庭が多い地域で育ったため、小学3年生くらいになると友達が皆、次々と塾へ通い始めたのです。遊び相手がいなくなった私は母に、「みんなと同じ塾に行かせて」とお願いしました。この頃からコツコツと勉強する習慣がついたことが、中学の学力のベースになったのは間違いないですね。
――では、高校時代も引き続き成績は良かったのですね。
それがそうでもなくて(笑)。高校では部活動に明け暮れ、まったく勉強しないまま3年間を過ごしてしまいました。入学時に70以上あった偏差値は、3年の時には50くらいまで落ちていました。
身をもって悟ったのは、やはり勉強は毎日の積み重ね、継続が大事だということです。成績は、下がり始めるとあっという間だということも実感しました。この苦い経験を味わってほしくないので、塾生には「気を抜くと成績はすぐに落ちるよ」「少しでいいから勉強は毎日続けよう」と繰り返し伝えています。結局、大学は1年浪人して関西学院大学に進学しました。
――高校時代の部活動は何を?
野球です。私が通っていたのは公立で、決して強豪校というわけではありませんでした。しかしある年の夏の大会で、大阪地区予選ベスト4まで勝ち上がりました。当時は、夏の甲子園で何度も全国制覇を果たしているPL学園の全盛期。この成績を残せたことは今でも誇らしいですね。
スポーツでも勉強でも、まじめにコツコツと地道に続けることが成長につながります。振り返ると、私は小学3年生から塾に通って勉強を続けたことで、さほど苦労することなく進学校に入れました。ところが、高校で“地道にコツコツ”をやめた途端、成績は急降下。一方で、3年間情熱を注いで打ち込んだ野球では、プロ予備軍ともいえる選手を擁する強豪校と渡り合えるまでになりました。
こうした経験を踏まえ、塾生には「どんなことでも“一所懸命”取り組もう」と言っています。「自分のやり方、ペースで大丈夫。一所懸命取り組めば、勉強でもスポーツでも、いつかきっと花ひらく時がくるよ」と励ましています。
▲教室内は明るく温かみのある雰囲気(上)。テキストや問題集は幅広く取り揃え、塾生のニーズに応えています(下)。
――座右の銘、信念を教えてください。
「栄光に近道なし」です。ラクして成績を上げたい――そう思う人も多いでしょうが、残念ながらそんな方法はありません。地道に努力して得た知識こそが身につくのです。
紅梅町校と清水谷校は、毎年、進学校への合格者を出していますので、かなりハイレベルな指導をしているのだろうと思われがちです。志望校合格は学習塾の使命ですから、ある程度厳しくするのは当然ですが、私の教室ではそれ以上に重視していることがあります。
中学3年まであまり勉強してこなかった生徒が、受験を見据えて入塾してきた時、最初に取り組むのは、机の前に座る練習です。驚かれるかもしれませんが、勉強する習慣が身についていない子は、机の前にじっと座ること、これすらも難しいんです。長時間座っていられる体力と集中力を養うことが、受験を成功に導くための第一歩、スタートラインだと考えています。
紅梅町校と清水谷校が進学実績を上げられているのは、塾生の頑張りがもちろん大きいですが、こうした基本的なことを徹底しているからだと思います。
――最後に、受験を控えた関塾生にメッセージをお願いします。
受験生にとって12月から1月は追い込みの時期。これまで以上に勉強を頑張っていると思いますが、無理はほどほどに。本番で自分の力を存分に発揮できるように、体調管理はしっかりと行いましょう。
勉強は、試験開始ギリギリまでやるといいですよ。私の大学入試では、試験直前に見ていた日本史の問題集の問題がそっくりそのまま出たんです! もちろん、バッチリ答えられましたよ。皆さんも最後の最後まで気を抜かず、万全に準備して受験に臨んでくださいね。
▲「小学4年の時から指導してきた塾生が再来年、国公立大学を受験します。私のアドバイスをきちんと守って大きく成長してくれたことに、嬉しさと頼もしさを感じます」
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