2023年10月号特集② 三大宗教の教えと成り立ち

 宗教とは、神や仏など、人間を超えた存在を信じ、それに伴う制度や儀式のことを言います。日本にも神道や仏教に関する行事や習慣が多くあり、宗教と結びついた生活をしているのですが、日本人は無宗教だと思っている人が多いと言われています。対して、世界では8割以上の人が特定の宗教を信仰しています。中でも信者数が多く、世界的に広がっている、キリスト教、イスラム教、仏教は三大宗教と呼ばれています。日本と世界の宗教観の違い、世界の多くの人が大切にしている価値観を知ることは国際理解につながります。三大宗教とはどのようなものなのか、きちんと知っておきましょう!

仏 教

王子が悟りを開いた

 仏教は、紀元前6~5世紀頃、インドで誕生しました。開祖のゴータマ・シッダールタは、北インド(現ネパール)のシャカ族の王子で、何不自由なく育ち、結婚して子どもも生まれました。しかし、ある日、城の4つの門を出ると、それぞれで老人、病人、死者を目にして悩み、最後に憂いを感じさせない修行者に出会い、出家を決意します。29歳で出家して厳しい修行をした後、菩提樹の下で瞑想し、35歳の時に“悟り”を開いてブッダとなりました。その後、80歳で亡くなるまで45年間、人々に教えを説きました。
 ブッダの死後は弟子たちが教えを広め、インド全域から中国や東南アジアなどに伝わり、現在でもアジアの広い範囲で信仰されています。しかし、仏教が始まったインドではヒンドゥー教やイスラム教の信者が増え、仏教徒は少数派です。

正しく生きて悟りを目指す

 仏教は、悟りを開くことを目指す宗教です。悟りとは、真理、世の中の真実を知ることです。ブッダは、すべての生き物は生老病死という4つの苦しみ(四苦)から逃れることはできない、世の中は苦に満ちていると考えました。そして、苦しみは欲望(煩悩)から生まれるので、悟り、煩悩をおさえることで悩みや苦しみから解放される、と説いたのです。
 また古来インドでは、あらゆる生き物は生と死を繰り返す(輪廻)と考えられていました。善行をすれば良い世界に、悪行をすれば悪い世界に生まれ変わり、人間として生まれても、行いによっては動物や植物に生まれ変わることもあります。仏教では、この輪廻から抜け出すには悟りを開くしかないと考えます。悟りを開くためには、修行、正しい8つの方法(八正道)で行動することが必要とされています。簡素で私心のない生活を送ること、日々を正しく生きることが大切であるという教えで、もともとは特定の存在を信じるものではありませんでした。

キリスト教

神の子が教えを説いた

 キリスト教は神の子イエスが説いた教えが始まりです。西暦はイエスが生まれた年を元年としますが、実はずれがあり、イエスは紀元前4年頃に地中海東部のベツレヘムという町で誕生したとされています。イエスはユダヤ人で、ユダヤ教徒として育ち、30歳の頃に洗礼を受け、人々に新しい教えを説くようになりました。33歳の時、その考えを認めないユダヤ教徒によって、十字架にかけられ、処刑されます。処刑後、弟子たちの前に姿を現したとされ、イエスが復活してキリスト(救世主)となったと信じる弟子たちによって、教えが広められました。
 その後、キリスト教はローマ帝国の国教となり、ローマ帝国が東西に分かれた時にカトリック教会と東方正教会に分かれました。カトリック教会のやり方に反対して、プロテスタントという宗派が生まれ、現在は大きく3つの宗派に分かれています。

神と隣人を愛する

 キリスト教は、あらゆることができる唯一絶対の神を信じる一神教です。神は唯一の存在ですが、神、イエス、聖霊の3つの形で現れる(三位一体)とされます。ユダヤ教も同じ神を信じていますが、ユダヤ教は厳しい戒律を守ることで神に救われると説き、守れない病人などは罪人とされていました。しかしイエスは、神に救われるために重要なのは戒律ではなく愛であり、神を信じて愛し、同時に隣人(すべての人)を愛すれば、すべての人が救われると説きました。
 イエスは神の子としてこの世に現れ、人々を救う救世主の役割をして神の国に帰ったとされ、処刑後の復活が神の子であることを示しているとされます。キリスト教では、神につくられた最初の人間が罪を犯したことから人類は罪深い存在であると考えます。イエスは人類の罪を背負って処刑されたため、イエスの復活を信じ、教えを守ることで罪をゆるされる、というのがキリスト教の教えです

イスラム教

預言者が神の言葉を伝えた

 イスラム教は、7世紀にアラビア半島のメッカ(現サウジアラビア)で、ムハンマドが開きました。ムハンマドは商人として生活していましたが、40歳頃、近くの山で瞑想していた時に唯一神アッラーの言葉を預かり、預言者として神の言葉を伝え始めました。しかし当時、別の神々を信じていたメッカの人々による迫害を受け、メディナへと移動します。メディナで信者を増やして力をつけたムハンマドは軍を率いてメッカと何度も戦い、ついには勝利してメッカを征服し、イスラム教はアラビア半島を支配しました。
 ムハンマドが62歳で亡くなった後も、信者を増やして領土を広げていきましたが、ムハンマドの後継者をめぐる対立が起きます。この対立からシーア派と呼ばれる人たちが分かれ、残った人たちはスンニ(スンナ)派と呼ばれます。シーア派は少数派で、現在もスンニ派が大半を占めています。

神の言葉に従って生活する

 イスラム教の神アッラーは、ユダヤ教、キリスト教と同じ神です。ユダヤ教のモーセやキリスト教のイエスも預言者として認めていますが、最後にして最大の預言者がムハンマドだと考えます。ムハンマドは、神の言葉に従って生活すれば死後に天国に行けると説きました。
 ムハンマドの死後、神の言葉をまとめたものが「コーラン(クルアーン)」です。唯一の神がすべてを教えると考えるため、イスラム教の国では、人々の暮らしだけではなく政治や法律もコーランをもとに定められています。書かれていないことは、ムハンマドの行いなどから考えて補います。イスラム教徒は、信じなければならない6つのこと(六信)、しなければならない5つのこと(五行)が決められています。信じるだけではなく、具体的な行動によって信仰心を示さなければならない、というのがイスラム教の教えなので、信者は厳しい戒律を守って暮らしています。

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