• 今月のタイムス特集①

2021年4月号特集 タイプ別 おすすめ勉強法

 友達が良いと言っていた勉強法をしても、同じような成果が出ない……という経験はありませんか? それは、友達と自分の「認知特性」が違うからかもしれません。「認知特性」とは、外からの様々な情報を頭の中で理解して表現する方法のことで、人によって得意な方法が違います。

 今回はそんな「認知特性」と、それぞれのタイプごとにおすすめの勉強法を紹介します。自分がどのタイプに当てはまるかを考えて、向いている勉強法を探しましょう!

認知特性について知ろう ~3つのタイプと特徴~

認知特性とは

 認知特性は、見たこと、聞いたこと、読んだことなどの情報を、頭の中で理解、記憶、表現する能力のことです。人それぞれ得意不得意が異なっており、同じ情報に触れても、誰もが同じように理解しているわけではありません。例えば、好きな曲の話をする時、「歌詞が好き」という人もいれば、「メロディが好き」という人もいますよね。このように認知特性は、その人の考え方の好みや癖とも言えるものです。
 そして、これらの認知特性は、主として「視覚優位」「言語優位」「聴覚優位」の3つに分けられるという説があります。「視覚優位」であれば情報を見て記憶するのが得意、「言語優位」であれば情報を言語化して記憶するのが得意、「聴覚優位」であれば情報を聞いて記憶するのが得意です。
 先ほどの例で言うと、曲を聞くとき、歌詞を重視する人は「言語優位」、メロディを重視する人は「聴覚優位」ということになります。また、「歌詞もメロディも同じくらい好き」というようにいくつかの特性をバランス良く使っている人もいれば、「メロディは好きだけど、歌詞はほとんど覚えていない」というように得意不得意の差が大きい人もいます。

勉強にも向き不向きがある

 認知特性によって、勉強方法にも違いが出ます。
 例えば、平安時代の仏教について、天台宗を開いたのが最澄、真言宗を開いたのが空海であると覚えたいとき、次のようになります。

本田40式認知特性テスト

 自分の認知特性を知る方法として、子どもの発達を専門とする小児科医・医学博士の本田真美先生によって考えられた「本田40式認知特性テスト」があります。40の簡単な質問に答えて自分のタイプを診断するもので、結果は「視覚優位」「言語優位」「聴覚優位」をそれぞれ2つに分けた次の6タイプに分けられます。

◦視覚優位者
①カメラタイプ:写真や絵など二次元で考える
②3Dタイプ:空間や時間軸を使い三次元で考える
◦言語優位者
③ファンタジータイプ:文字や文章を映像化して考える
④辞書タイプ:文字や文章を図式化して考える
◦聴覚優位者
⑤ラジオタイプ:文字や文章を音として情報処理する
⑥サウンドタイプ:音色や音階など音楽的イメージを脳に入力する

 『関塾タイムス』では、これら6タイプにおすすめの勉強法を紹介します。自分がどのタイプか考えて、向いていそうな方法を試してみてくださいね。
 もっと詳しく自分のタイプを知りたい人は、インターネットで公開されている診断ツールや本田先生の著書で診断してみましょう!

視覚優位者の特徴と『関塾タイムス』おすすめ勉強法

写真で記憶する
カメラタイプ

 見たことを写真のような画像として記憶できる人です。頭の中にカメラを持っていて、何かを記憶するときはそのカメラのシャッターをきり、一瞬一瞬を画像として頭の引き出しに保存していきます。何年経ってもその画像がぼやけることはなく、あとになってからも鮮明に思い出すことができます。このタイプは、膨大な量の写真アルバムを頭の中に持っていると言えるでしょう。一番古い記憶も自分の目のカメラで写したものなので、その場に自分はいません。
 目で見た情報の処理がうまくできるため、例えば人気アニメのメインキャラクターだけではなく、わき役の絵を何も見ずに思い出しながら上手に描ける人が多い傾向も。
カメラマン、画家、デザイナーに多い。

3Dタイプのキミは エピソードを結びつけよう!

 3Dタイプは、立体的なイメージを思い浮かべ、時間の流れがあるエピソードを理解するのが得意なタイプです。周囲の環境などを合わせて覚える勉強法がおすすめです。

 例えば… 

◦説明している先生の表情なども覚えておく。
◦関連する人物やできごとについてもまとめる。
◦映画などのストーリー性があるものを見る。

ファンタジータイプのキミは 言葉からイメージしよう!

 ファンタジータイプは、文字や文章を頭の中で映像化して理解するタイプです。言葉と具体的なイメージを一緒に覚える勉強法がおすすめです。

 例えば… 

◦文字や文章と絵や写真をバランス良く配置する。
◦年号や語句は語呂合わせで覚える。
◦文字に書いたことを読み返しながら頭の中で想像する。

辞書タイプのキミは ノートにまとめよう!

 辞書タイプは、文字や文章を図式化して理解するタイプです。文字を読んだり書いたりすると覚えやすいので、情報をノートにきっちりまとめる勉強法がおすすめです。

 例えば… 

◦先生の話などもメモをとる。
◦エリアを分けて情報を整理しながらノートをとる。
◦英単語や漢字などは書いて覚える。

ラジオタイプのキミは 音声を聞こう!

 ラジオタイプは、言葉を読むよりも聞くほうが理解できるタイプです。移動などの隙間時間を利用して音声を聞いて覚える勉強法がおすすめです。

 例えば… 

◦リスニング教材やラジオ講座を聞く。
◦教科書やノートの内容を自分で録音して聞く。
◦繰り返し音読して覚える。

NHKゴガク おうちで英語学習
https://www2.nhk.or.jp/gogaku/homestudy/

サウンドタイプのキミは リズムをつけよう!

 サウンドタイプは、音階や音色などのイメージで情報を理解するタイプです。言葉や文章にリズムや抑揚をつけ、読んだり歌ったりして覚える勉強法がおすすめです。

 例えば… 

◦勉強したい外国語の曲を聞く。
◦語句などは替え歌で覚える。
◦覚えたい語句を歌詞にしてオリジナルの曲を作る。

『小学4~6年生【社会】都道府県の歌』
https://www.youtube.com/watch?v=MFyV-P4mnQM

診断ツールはコチラ

▲「本田40式認知特性テスト 診断ツール みくりキッズくりにっく」
https://micri.jp/ninchitokusei/

掲載書籍はコチラ

▲『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』
(本田 真美 著/自由国民社)

▲『得意がわかれば自分が伸びる40問テスト』
(本田 真美 著/自由国民社)

▲『タイプ別「頭がよい子」になるヒント』
(本田 真美・木下 勝 著/自由国民社)

質問例

「フランシスコ・ザビエル」と聞いたとき、何を思い浮かべますか?

A 「フランシスコ・ザビエル」というカタカナの文字
B 何となく「フランシスコ・ザビエル」のようなぼやけた人物像
C 教科書に載っていた「フランシスコ・ザビエル」の写真
D おもしろい、または言いづらそうな名前(響き)だな~と思う

結果例

40の質問に答えると自分の特性を数値化できます。

点数評価

14点以下………弱い認知特性です。
15~45点……一般的な認知特性です。
46点以上………強い認知特性です(この分野の能力の特化が見られます)。

診断結果

各認知特性が15~45点(チャートの黄色のゾーン)に配置されていれば、すべての認知特性のバランスがいいと言えます。
46点以上の認知特性がある人は、その能力を活かせば、さらに能力を発揮できるでしょう!

※認知特性テストは、自分の特性を判断する以外には利用しないでください。
※診断の結果は、「絶対にこのタイプ」とはっきり線引きできるものではありません。
※各タイプの特徴は『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』より引用および要約しています。

カメラタイプのキミは 絵や写真を使おう!

 カメラタイプは、文字を読むよりも絵や写真を見たほうが理解しやすく、覚えやすいタイプです。目で見てわかるようにする勉強法がおすすめです。

 例えば… 

◦図を写したり写真をコピーして貼ったりする。
◦思い浮かんだイメージを絵に描いて覚える。
◦教科書やノートを何度も見る。

時間と空間を操る
3Dタイプ

 物事を動画として記憶できる人です。「カメラタイプ」と異なるのは、空間と時間という軸が加わった点。写真のような平面画像ではなく立体的な映像として覚えているので、場面ごとにその前後関係も記憶し、見たものを順序良く、時間を追うように説明することができます。そして、思い出の映像はいつまでも鮮やかです。
 このタイプは、人の顔をしっかり見分けられるエキスパートでもあります。人の顔を認識する際、3D(三次元)的にとらえるため、違う角度から見たり髪型や服装が変わったりしても、誰なのかすぐに気づくことができます。
建築家、外科医、機械技術職、テレビ・舞台関係者に多い。

言語優位者の特徴と『関塾タイムス』おすすめ勉強法

右脳と左脳のバランスが良い
ファンタジータイプ

 本を読むとその場面をすぐ想像でき、見たことを言葉で表現できる人です。映像を言語化するだけでなく、言葉を映像化するのも得意です。
 視覚優位者は主に右脳を使っていると言われていますが、このタイプは言語機能をつかさどる左脳と、イメージをつかさどる右脳をバランス良く使うことができます。視覚優位者が物事を感覚的にとらえるタイプとすると、言語優位者は、イメージを言語に結びつけることから、論理的思考者と言えるでしょう。見たことを「まるで◯◯のよう」と比喩を使って相手にうまく伝えることを得意とします。
コピーライター、絵本作家、雑誌の編集者、作詞家に多い。

言葉を見るのがうまい
辞書タイプ

 「言葉を見る」のが得意な人です。わかりやすく言うと、覚えたいことなどを文字にしたり図式化したりして紙に書き、視覚情報に変換して理解したり記憶したりします。また、言葉に含まれる意味を読みとり、数字や図と系統立てて結びつけることが得意なので、わかりづらい文章を整理し、図式化することにも長けています。
 これらを総合すると、ノートをわかりやすくまとめる達人と言えるでしょう。言語的な授業の要点を図や相関図にすることができ、さらにラインマーカーやペンの色を使い分けるなどして見やすいノートをとることができる人です。
内科系医師、作家、金融関係者、教師、心理学者に多い。

聴覚優位者の特徴と『関塾タイムス』おすすめ勉強法

言語で思考する
ラジオタイプ

 音声という聴覚情報だけで、言語や話の内容を脳内に取り入れることができる人です。言葉を見るのが得意な「辞書タイプ」に対し、言葉を聞くのが得意です。
 相手が話している音だけで内容を理解でき、イメージより言語そのもので思考を働かせることができます。メモをとらなくても大事な話の内容を理解し記憶できるのは、このため。一度聞いたコマーシャルのフレーズや歌の歌詞をすぐ覚えられる人や、英単語はノートに書くよりテープに吹き込んだ声を繰り返し聞いたり、暗唱したりしたほうが覚えやすいという人が当てはまります。
弁護士、教師、落語家、アナウンサーに多い。

音で情報処理ができる
サウンドタイプ

 音階や音色など言語的な意味を持たない情報も、イメージとして脳内で処理できる人です。「ラジオタイプ」と同様に聴覚的な情報入力・処理が得意ですが、聞いた情報を言語として思考するラジオタイプに対し、サウンドタイプは単に「音」としてとらえるという違いがあります。
 コマーシャルや映画、ミュージカルなどで使われる音楽は、歌詞よりも先にメロディを覚え、一度聞いただけで口ずさめるのは、このタイプ。中には、自分で聞いた(脳内に入力した)音を、自分の声として発声(出力)できる人もおり、例えば友達の話し声や動物の鳴き声など、聞いた音を忠実に再現できるという特技(?)を持つ人も。
音楽家に多い。

カメラタイプはこんな人!(一例)

◦印象深いできごとは、その瞬間をカラー写真のように思い出せる。
◦3歳以前の記憶があるが、その場に自分は登場しない。
◦集めたコレクションをきれいに並べて飾る。
◦小さい頃から絵を描くのが好き、本を読むのは苦手。
◦初対面の人は顔や雰囲気で覚える。
◦道順を説明するときは、地図や図式を使う。

出典:『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』

3Dタイプはこんな人!(一例)

◦印象的なできごとは、連続写真、または動画にして記憶している。
◦小さい頃から絵を描くのが好き。立体的で奥行きのある絵を描ける。
◦人の顔を覚えるのが得意。
◦過去の嫌なできごとを突然または鮮明に思い出すことがある。
◦国語は不得意、漢字を覚えるのは苦手。
◦一度行った場所は道順までしっかり覚えている。

出典:『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』

ファンタジータイプはこんな人!(一例)

◦空想や妄想するのが好き。
◦小さい頃からマンガを描いたり物語を作ったりするのが好き。
◦人のちょっとした話を映像にしてイメージできる。
◦たとえ話がおもしろいと言われる。
◦友達の話を聞いていると、自分もその場にいたような感じになる。
◦おしゃべりと言われる。

出典:『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』

辞書タイプはこんな人!(一例)

◦小さい頃から本を読むのが好き。
◦大切なことは必ずメモをとる。
◦国語、社会が得意。
◦英単語は書いて覚える。
◦人の名前を覚えるのは得意。でも顔を覚えるのは苦手。
◦歴史の本を読むと、家系図や登場人物の相関図が思い浮かぶ。
◦人に何かを説明するのは上手だと思う。

出典:『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』

ラジオタイプはこんな人!(一例)

◦メモをとらずに大事なことが覚えられる。
◦英語はリスニングが得意。ラジオ講座できちんと勉強できる。
◦モノマネがうまい。
◦独り言が多い。サイレントトーク(脳内で自分と対話する)をする。
◦人の言い間違いの揚げ足をとって嫌がられることがよくある。
◦映画やミュージカルを見たとき、セリフをすぐ覚えられる。

出典:『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』

サウンドタイプはこんな人!(一例)

◦小さい頃から歌を歌うのが好き。
◦遠くから聞こえるサイレンなどは小さな音でもすぐに気がつく。
◦リズムに合わせて踊るのが得意。
◦英語は得意ではないが英語の歌はすぐ覚えられる。
◦英単語は声に出して覚える。
◦音楽を聞いているとき、ドラムやベースなどの音を聞き分けている。

出典:『あなたの才能が10分でわかる40問テスト』