関塾が発行する親子で楽しむ教育情報誌、関塾タイムス

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2018年12月号 特集②

白地図を使ってみよう!

皆さんは、社会科の学習で白地図を活用しているでしょうか。これまで『関塾タイムス』では「時間を短縮し、ノートを効率良くまとめるため、白地図のコピーを活用しましょう」と言ってきました。しかし、資料集の付録などで見かけるものの、実際にどう使えばいいのかわからないという人もいることでしょう。
そこで、今回は、白地図の活用方法を、具体例を交えながら紹介します。白地図の使い方は、できれば受験生になる前にマスターしておきたいところです。来年度から受験生だという皆さんは、ぜひ参考にしてくださいね!

白地図ってどういうもの?

白地図とは、文字通り何も書かれていない、真っ白な地図のことです。海岸線のみがかかれているもの、国や地域の境界線があるもの、緯度と経度が引かれているものなどがあります。また、地図にはメルカトル図法や正距方位図法といった様々な図法がありますが、海岸線などの輪郭線だけのものはすべて「白地図」と呼びます。目的別に上手に使い分けるといいでしょう。
白地図を手に入れるには、インターネットからダウンロードする方法が簡単でおすすめです。いくつか無料の白地図を公開しているサイトがあるので、一部を下に紹介しておきます。ただし、プリンターに接続しなければならなかったり、「地理院地図」のように操作が多少複雑であったりします。家庭にプリンターがなければ、コンビニエンスストアの機器にデータを転送するサービスを利用してもいいでしょう。あとは、白地図帳を購入して、コピーして活用するのもおすすめです。比較的安価ですので、保護者の方に手に入れてもらうといいですね。

どんな学習に使えるの?

白地図は社会科の学習に大変役立ちます。国名や地理、気候、産業などの地域の特色は、地図に落とし込むとよくわかりますね。日本史であれば、重要な遺跡の名前と場所、各時代の勢力図(戦国武将の領土・江戸時代の藩)などを書き込むと、頭にすっと入ってくるかもしれません。その他にも、世界地図を利用して、国名や地名の英語表記を覚えるのもいいでしょう。昔の地名を書き込めば、国語の文学史の学習にも役立つかもしれません。これらの具体的なまとめ方を、ポイントと共に次のページから紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ちなみに、まだ白地図に馴染みのない小学生の皆さんは、“ぬりえ”から始めてみることをおすすめします。まずは自分が住んでいる県を探して色を塗り、次に知っている都道府県を探していきます。すっかり覚えたら47都道府県をハサミですべて切り取って、パズル遊びをしてもいいですね。ゲーム感覚で楽しみながら、地名と場所を覚えていきましょう。

ジャンル別にまとめよう

例では、日本の工業地帯・地域の分布図を作ってみました。どの辺りに位置しているか、それぞれの特徴は何かなどを、一度に確かめることができます。この地図は少し加工しましたが、日本全図には北海道も沖縄県ももちろん入っていますので、漁業や農業、林業、伝統工芸品などジャンル別にまとめるといいですね。
また、上の例のような2色使いでは物足りないので、地域ごとに色を塗り分けたくなるかもしれません。しかし、それなら「漁業は青、農業はオレンジ、林業は緑……」というように分野別に配色したほうが、後々印象に残りやすいと思いますよ。これまで『関塾タイムス』では、ノートのまとめ方として、なるべく多色を使用しないことをおすすめしてきました。それは白地図も同じです。地図上の範囲の塗り分けも、ペン先がブレて教科書や資料の範囲から少しくらいズレてもかまいません。大事なのは、京葉工業地域と京浜工業地帯の位置関係はどうか、関東内陸工業地域に含まれる地域はどこかなど、地理的情報を正しく把握することです。

複数の情報をひとまとめに

愛知県の地図を使って、平野や山地などの場所と主な農作物をまとめてみました。農作物の分布に地理が影響していることが、よくわかります。また、知多半島では、みかんの栽培が適していることもひと目で理解できます。これを、文章にして説明しようとすると長くなりますよね。白地図は、複数の情報を短時間で復習できる便利なアイテムです。この特徴が理解できていれば、テスト勉強に十分役立てることができるでしょう。他にも、市町村名を書き込んだり、漁港ごとの水揚げ量をまとめたりといった使い方ができます。「どうしても覚えるのが苦手」という単元があれば、白地図を使って学習してみてはいかがでしょうか。
複数の情報をわかりやすく整理できる白地図は、自由研究にも使えますね。自分が住んでいる都道府県の地理や遺跡、偉人などについて調べて、地図にまとめるのもいいでしょう。発表用にまとめたいなら、拡大コピーをして使用するのをおすすめします。自分だけの「オリジナル調査地図」を作ってみましょう!

緯度・経度を意識しよう!

社会科では、データを正確に把握する力が必須です。上の例にあげた世界各地の気温と降水量のグラフは、皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。グラフを読み取り、国名(地域名)や気候区分を答える問題は、もうおなじみですね。
地理のデータをまとめるなら、緯度・経度が入った白地図を使うと便利です。特に、大学受験で地理を選択する皆さん。主要な緯度・経度のあたりには、どのような国や地域、地形があるかを知っておくといいですよ。
★緯度…赤道(アマゾン川の下流、ギニア湾)、北緯30度(カイロ、上海、ヒマラヤ山脈)、北緯35度(東京)、北緯40度(ニューヨーク、マドリード、北京)、北緯60度(オスロ、ストックホルム、アンカレジ)、南緯30度(南アフリカ共和国)など。
★経度…本初子午線(ロンドン)、東経30度(カイロ)、東経120度(北京、上海)、東経145度(東京)、西経75度(ニューヨーク、フィラデルフィア)、西経120度(ロサンゼルス)など。

地図にまとめると楽しい!

昔の国名、戦国大名の勢力図、遺跡の場所など、歴史の勉強でも白地図を使ってみましょう。例えば、今年は明治維新150年なので、幕末関連の出題も予想されますね。日米和親条約によって開港した下田と函館はどこにあるでしょうか。地図上で指し示せますか?
このような「ぼんやりと頭に入れている」内容も、地図にすることでクリアになりますね。時間旅行をしているみたいで、勉強が楽しく感じられるかもしれません。作品ゆかりの地に印を入れるなど、国語の文学史の学習にも役立てることができますよ。
旅行といえば、世界地図を使って、架空の旅行計画を立ててみるのもおすすめです。その国の地形や気候、産業、名産品や特産品などを調べて、観光ルートやお土産などを想像すると、楽しく学習できそうですね。「自分が王様や大統領だったら、どの国を治めたいか。それはなぜか」と考えながら、地図にその国の特色を書き入れていっても面白そうです。学びを楽しむツールとして、白地図を活用してみてください!