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わたしの勉学時代

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姫路城への親しみと誇り

真っ白な城壁がまぶしい姫路城は、“白鷺(=シラサギ)城”とも呼ばれています。
国宝であり、日本で初めて登録されたユネスコの世界文化遺産でもあります。
私が生まれ育った兵庫県姫路市は、この美しい城を中心に栄えてきました。
姫路城は、市内で唯一戦火を逃れた建物です。戦争を体験した私の母の話によると、「空襲が終わって防空壕から出た時、真っ先に目に飛び込んできたのは、朝陽を浴びる美しい姫路城だった」そうです。私が小さかった頃は、城内にすり鉢状の観客席を備えた立派な土俵があり、たびたび相撲の地方巡業が開かれました。城の前の練兵場跡にサーカスが来ると、たくさんの人で賑わったのを覚えています。私を含め姫路の人々の多くが、城に親しみと誇りを抱いています。
実家は日本料理屋を営んでいました。店と自宅のある御幸通りは商店街になっていて、缶蹴りをして遊ぶ時は、商店やデパートを隠れ場にしていたことを覚えています。店の調理場を仕切っていたのは、創業者の祖父と、料理人で2代目を継いだ父です。結婚式で利用されることが多く、小さい頃は三々九度でお酌をする役のためによく駆り出されたものです。
私自身「いずれ3代目を継ぐだろう」と思っていました。

 

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滋賀大学は彦根城がすぐそばに建っています。窓から見えるその姿に、懐しさや親しみを感じています。

病気で3か月の休学

小学校での毎日はとても楽しく、特に学芸会で『泣いた赤鬼』の青鬼を演じたことはいい思い出です。
担任の先生のこともよく覚えています。厳しくも良き指導者であった福永先生、ダンディで優しく面白かった好田先生、背が高くて真面目な溝端先生との出会いは、学校生活を豊かにしてくれました。そんな日々が一変したのは、小学6年生の5月でした。
肺結核にかかってしまい、連休明けから夏休みが終わるまでの約3か月間、学校に行けなくなってしまったのです。
療養中は呼吸の苦しさや微熱に耐えることで精一杯でした。仰向けに寝ているだけで、胸が肺を圧迫して息苦しくなったり、咳が止まらなくなったりするんです。そんな経験をしたことで、“死”への恐怖心が芽生ばえました。
しばらくは死を連想させるものを遠ざけて過ごしたことを覚えています。

ヒマワリの押し花

結核が治癒した後も、運動は控えなければなりませんでした。体育の授業も必ず見学、運動部にも入れません。
そこで、中学校からコーラスを始め、兵庫県立姫路西高等学校では音楽部に所属しました。部長を務めた高校3年生の時は、指揮者としてNHKの全国高校合唱コンクール兵庫県予選に出場し、優良賞をもらいました。いい思い出です。中学、高校時代は数学が好きでした。英語の授業も楽しかったです。中学の生物の矢内先生にまつわる思い出では、夏休みの宿題が忘れられません。
20~30のテーマについて調べてくるよう課題が出されたのですが、その中の一つに「ヒマワリの押し花を作る」というものがあり、とても苦労したことを覚えています。下町の商店街にはヒマワリは咲いていませんでしたので、祖父が知り合いからもらってくれました。そこまではよかったのですが、今度は押し花にする方法に悩みました。なにせヒマワリは大きくて厚みがあり、アサガオと同じ方法では押し花にできません。考えた末、新聞紙で挟み、畳と床板の間に入れて押しました。自ら方法を考え課題をクリアする達成感が得られたことは、すばらしい経験でした。小中高校時代の得意不得意は、学校の教員や塾の先生との出会いで決まるといっても過言ではありません。子どもは「先生」を通して勉学に興味を抱くようになります。
私は恩師との出会いに恵まれました。

フランス語との出合い

京都大学法学部を選んだ理由は、当時の表現で言うと「つぶしが利くから」です。
法学部で学ぶ論理は汎用性があり、他の分野にも幅広く応用できます。
卒業後は実家の料理屋を継ぐつもりでいましたので、法律を職業にすることはまったく考えていませんでした。転機となったのは京大進学後、第2外国語選択でした。法学部の学生の多くはドイツ語を選択しますが、私はフランス語を学ぶことにしました。国際法学がご専門の香西先生から「国際的な仕事をしたいならフランス語を学んだほうがいい」とすすめられたからです。実は、高校生の時に少しだけ外交官に憧れていました。
世界史を学んで、日本以外の国や地域の歴史にもストーリーがあり、魅力的な人物がいることを知ったからです。壮大な映画のようだと思いました。
「国際的な語学」に興味を持った理由には、こうした思いがあったからかもしれません。
一般教養の2年間はフランス語に夢中になりました。担当の先生とも仲良よくなり、その没頭ぶりを見た周囲から「法学部フランス語学科」と言われたこともあります。
3回生になって、語学の実力を知るため、サンケイスカラシップの留学生試験に挑戦してみたところ、幸運にも合格。4回生の夏の終わりから1年間、フランスのロレーヌ地方にあるナンシー大学に留学することになったのです。
そこで出会った人物こそが、私の運命を変えたシャルル・ショーモン先生でした。

 

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姫路西校では全教科を対象にした補講を受けました。1年生の3学期から3年生の2学期まで、先生方が熱心に指導してくださいました。

ショーモン先生の国際法学

ショーモン先生の「国際法」の授業では、教科書を一切使いませんでした。
先生は部屋に入って来ると、ポケットから小さなメモを数枚取り出し教壇にぽんっと置きます。それから一気にしゃべりだすのです。
話の内容も、単に条約の解説をするのではなく、「なぜこの条約が生まれたのか」について政治的・経済的背景も含めて教えてくださいました。そして必ず、実際にルールを適用する場合の具体的問題点も指摘されました。
パリ大学を優秀な成績で卒業されたショーモン先生は、国際連合のフランス代表団を途中で辞したことで、約束されていた母校での教職を自ら棒に振りました。戦後すぐに制定された国際法の数々は先進国主導のものばかりで、発展途上国の人々の想いや主張とかけ離れていると知ったからだそうです。先生はこれまでの研究内容を恥じ、以降はナンシー大学で“国際法の新しいとらえ方”を研究されました。私は、そんなショーモン先生に憧れ、国際法の道に進む決意をしたのです。
平和とは、単に戦争のない状態ではなく、生きている一人ひとりが幸せであることを指すと私は思うのです。国際法は国家間の平等が基本です。しかし、もともと格差のある先進国と発展途上国を平等・対等に扱ってしまうと、発展途上国はいっそう不利になります。
これでは真の国家平等にはなりません。そこで私は、結果が平等になる“実質的平等”の追究を考えました。
そこでは政治や経済などの背景を考慮し、その国で生きる人々のことを想像します。
ショーモン先生と出会ったからこそ、国際法はもちろん生命倫理においても、個人を大切にする考えを持つことができました。

世界を見つめる力を養やしなう

皆さんが今、大切にしているもの、大切に思っていることは、ぜひ大事にしてください。
そして「他人にも、自分と同じように大切にしているものがある」ことを知っておいてください。
この世界には様々な人がいます。人種も文化も考え方も違いますが、それぞれが大切な存在です。
グローバル社会で互いの存在が近くなっている今だからこそ、多様であることを認め合い、相手を思いやることの大切さを忘れないでいたいものです。そして、皆で協力し合い平和な国際社会を築いていきたいですね。
自分が大切だと思うことをしっかりと主張し、同時に相手の話にも耳を傾けることは、自身を強く持っていないとできません。
まずは学校で習ったことを「本当にそうなのかな?」と一度自分にたずねてみるといいでしょう。
自分の考えがまとまったら、次は「他の人はどう思っているのかな?」と考えを広げてみましょう。
自分とは違う考えに出合ったならば、「こんな考えもあるんだな」と気づく機会になります。
それを繰り返しているうちに、「多様な考え方を持つ人が集まっているのが現実の世界なのだな」と実感できるようになります。
世界を見つめる力が養われることでしょう。現実を見つめ、今の世界で何が起こっているかを知ることが、平和に近づく第一歩です。
現実とかけ離れた法律は、実際の出来事には使えません。これは他の分野にも言えることで、知識だけを学んで説明できても、それを実際に使えなければあまり意味がないのです。本を読んだり、話を聞いたり、体験をしたりといったことを重ねていくうちに、皆さんの知識は深まっていくことでしょう。その様々な経験から得た知識が、現実とどうつながっていくのかを、常に考えられる人になってください。

データサイエンス学部

2017年4月、滋賀大学に21世紀の最新科学を学ぶ「データサイエンス学部」が誕生しました。ICT(情報通信技術)の発展著しい昨今、ビッグデータに秘められた価値を適切に引き出し、社会や経済の課題解決に役立てることは、どの分野においても必須のスキルです。同学部では、高度なデータ処理能力、データ分析力を養うため、情報、統計関連科目ばかりではなく、経済や経営といった文系の分野も幅広く学びます。日本IBM、データサイエンティスト協会、野村総合研究所の方を講師に招いての授業も実施。また、4年間を通して実際のデータを扱ってのPBL型の演習も行います。地域社会が国際社会と直結している時代において、様々な業種で活躍できる即戦力を養うことができる学部です。興味のある関塾生は、ぜひチェックしましょう!

 

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彦根城のそばにある滋賀大学キャンパス。

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